ホーム » 島田村塾

島田村塾

島田村塾

〜世界と生きる経営塾〜

島田村塾 メインイメージ

Ⅰ.「島田村塾」へようこそ

島田村塾は、志が高く、勇気があり、リスクに挑んで、努力する若き経営者、経営者候補、あるいは経営者を目指す人が、これから変化がますます激しくなり、多様なリスクが伏在する内外の世界で活躍するために必要な知識や教養を身につけ、グローバルな経営者として逞しく成長されることを支援することを目的として、2012年9月に開塾しました。

2年間の大学院レベルのコースが基本ですが、書物やインターネットそしてワークショップの議論に加え、常に世界や日本の現場に足を運んで、体験からも学ぶアクションプログラムが特徴です。すでに素晴らしい人材が村塾で学ばれ各地で活躍されており、貴重な人脈が形成されています。未来への大きな志を抱く有為な人材の参加を歓迎します。

Ⅱ. 島田村塾の趣旨

1. これからのビジネス環境

島田村塾創設の趣旨のひとつはこれからのビジネス環境が大きく変わるという認識です。世界の経済社会の変化を長期的に見ると、20世紀の世界が享受したさまざまな資源のフロンティアが相対的に縮小しつつあることは明らかです。それは自然環境、エネルギー、食糧などの制約だけでなく、経済成長や生活水準の向上が望み難く、高齢化による社会負担や格差が増大し、20世紀前半まで人類を悲惨な戦争に陥れた帝国主義時代を脱却したはずの人類がまた新たな覇権対立、民族紛争やテロリズムに巻込まれるリスクが高まっています。

無謀な太平洋戦争で完膚なきまでの敗戦を喫した日本は、戦前の体制を全否定し、平等と集団主義のメリットを徹底的に生かした経済と経営モデルを活用して世界がうらやむほどの経済成長と繁栄を実現しました。現在の日本のシステムはその成功体験に基づいていますが、その”成功”から半世紀を経た今、その全体すなわち経済システム、経営モデルそしてとりわけその仕組みに人材を提供してきた教育がこれからのビジネス環境条件にそぐわないことが明らかになりつつあります。

とくに日本では、かつての高度成長を支えた人口ボーナス(若年層の多い人口構造)が消滅し、逆に高齢化負担の増える人口ボーナスの重圧が高まります。それは人口減少によって国内市場が飽和もしくは縮小し、高齢化の社会的費用が重税となる経済社会に入るということです。それはビジネスにとっても個人にとっても大変な負担です。ビジネスは生存のためにまだ人口ボーナスのある世界に出ていかざるを得ませんが、そこでは、日本型集団経営のお家芸であった自動車や電機など量産型のものづくりは新興国にとって代わられ、日本はますます目に見えないソリューションビジネスで高付加価値を追求せざるを得ません。そこでは、集団の調和より個性の発揮、改良より創造そして多様な異文化の人々との相互理解と信頼が何よりも求められます。

2. 新たな活躍の世界を創造する

島田村塾は主として30歳代前後の事業家もしくはビジネス人材を対象にしていますが、意欲さえあれば20歳代でも40歳代でも50歳代でも歓迎します。30歳代前後の年代層は仕事でも家庭でも最も忙しい人々で、なかなか自分の時間を自分で作り出すことができません。ベンチャー企業を立ち上げた若手社長は寝るヒマもないほど忙しく、また会社の若手幹部は何よりも社命が優先します。家庭でも子育て真っ最中で、自分の時間がとれません。それでも、彼ら彼女らは自ら懸命に時間をつくって週おきのワークショップや海外探訪に参加しています。

それはなぜでしょうか。彼らは既成の大学を出て仕事をしています。仕事が佳境に入る頃になって重大なことに気がつきます。それは仕事のうえでもそして人生にとってもとても大切なことを大学時代までに勉強していなかったということです。海外で仕事をする、あるいは異文化の人々と仕事をするとすぐに誰でも直面することは、仕事に入るためにはいろいろな場面で、趣味や文化、あるいは宗教や歴史など多様な会話を経るなかでお互いの理解と信頼を深めることが重要で、いきなり仕事の話からは入れないということです。まして、形の見えないソリューションビジネスではなおさらでしょう。

日本人同士の集団協調と平等主義の企業、そのための企業人を養成してきた日本のこれまでの教育制度では、こうした観点が全く欠如していました。大学を卒業して仕事をはじめた若手ビジネスマンは、現実の仕事をつうじて幅広く、多様で、しかも深い知識が実は仕事の世界で最も必要とされるということを、そしてそれまでの教育の中でそうした生きた学びをしてこなかったことを痛感し、村塾の門を叩いてこられるのです。

島田村塾はそうした意欲とチャレンジ精神のある若手人材を応援します。なぜなら彼らこそ、これまでの日本の社会が養成してこなかった最も貴重な人材であり、彼らこそこれまでの成功体験で固定化した旧来の日本の殻を破って新たな活躍の世界を創り出す人々だからです。そうした人々にとってこれから仕事が本格化する今の時期に未来のための真剣な密度の高い充電をすることはやがて大きな成果につながるでしょう。

Ⅲ. 村塾のカリキュラム

島田村塾では以上のような趣旨を実現するため、以下のようなカリキュラムを提供します。カリキュラムは5つの主な科目から構成されます。

1. 世界を学ぶリベラルアーツ

村塾に学ぶ若手事業家の皆さんは、これからますます世界の多様な異文化の人々と仕事をして行くことになるでしょう。まず、上述したように、日本そのものが人口減少で小さくなります。それは国内市場が飽和もしくは縮小することを意味します。すでに多くの日本企業が海外展開を進めているのはそのためです。また高齢化の社会的費用を担うために企業も国民もこれからますます重税の負担を迫られます。言い換えれば、日本はビジネスにとっても生活にとってもますます厳しい国となります。これからの事業家はまだ大きなチャンスがある世界を舞台に、あるいは世界を引き込んで仕事をすることが不可欠になるということです。

世界では、日本を含む欧米先進国は成熟化し、世界経済の比重は人口ボーナスのある新興国や開発途上国に移りつつあります。いわゆるボリュームゾーンの地域や国々です。このところ、短期、中期的にはこれらに国々が低迷していますが、長期的にはこれらの国々や地域の経済比重が高まることは人口トレンドから見れば明らかです。資本主義、民主主義と市場経済を共通項とする先進国とは異なり、これら世界の多くの国々では政治制度も社会システムも、価値観も大きく異なり多様です。また、キリスト教が支配的な先進国とは異なり、多くの民族はイスラム教を信仰しています。このような多様な地域、国々、そして民族の人々と仕事をしていくうえで、お互いに理解し合い、信頼し合うためには、何が必要でしょうか。

個人の資質や魅力はもちろん重要な要素ですが、それ以上に重要なことは、ビジネス・パートナーになる異文化の彼らを理解する能力、努力そして知識です。多様な異文化の民族や国々の歴史、宗教、文化、価値観などについての知識と理解です。これらはある程度事前に学ぶことができます。村塾では、そのための努力を体系的に皆で切磋琢磨しながら学びます。それがリベラル・アーツの学習です。

これから世界で活躍する人々は、将来、さまざまな国々や地域で仕事をする、あるいはそうした人々と仕事を一緒にすることになるでしょう。村塾では、そのために世界の主要な文化圏についてそれぞれ歴史、宗教、文化、価値観を体系的に学んでいきます。日本のこれまでの教育は欧米先進国から吸収することを主眼としていたので、中国、東南アジア、インドなど南アジア、中央アジア、ロシア、中東、地中海圏、アフリカ、南米などの勉強が著しく不足しています。村塾では世界を5〜6の主要な文化圏に大別し、それぞれについてワークショップで皆で課題図書を選んで研究、報告、議論をしつつ理解を深めます。

もちろん日本も重要なので、文化圏のひとつとして研究します。実をいうと国際人として異文化研究をするときにもっとも重要なのは自国の文化です。自国を理解していない人は”根無し草”と同じで総合的な国際理解ができません。村塾では、日本の歴史、神道や仏教などの宗教、能、茶、文楽、歌舞伎、浮世絵、相撲など古典文化を学びます。せっかく日本に居るのですから、これらは観劇、稽古、見学旅行など実体験を交えて学びます。また日本が20世紀前半に5回もつづけて大戦争をした歴史を世界は忘れていません。沖縄はその困難な歴史と現在も安全保障問題の象徴となっており、現地見学が欠かせません。

また、欧米などの先進国でも事態は常に変化をしており、リベラルアーツとして確かな理解は不可欠です。これらの地域も書籍やメディアの情報収集、さらに必要があれば現地見学もします。

2. 世界の最新の動きを知るUpdating Ourselves to the World

事業家にとって広く深い教養とならんで重要なことは世界の最新の状況を知り、理解することです。資金運用や投資あるいはビジネスの取引では”今”のビジネス環境を知らなければ目をつぶって何かを選ぶに似た危険があります。若手事業家がこれからますます世界の舞台で、あるいは世界が相手にして仕事をする機会が多くなるので、閉ざされた日本とは桁違いに広く多様な世界の情勢について、しかも最新の事態を知り、その意味を理解する訓練が必要です。村塾では”Updating Ourselves to the World”と名付けたワークショップでそのための訓練をします。

最新の情報はどのようにすれば手に入るでしょうか。近年までは、テレビや新聞などのマスメディアがそうした情報を伝えてくれました。最近はインターネットを使った情報メディアがもっと新しい情報を提供してくれることもあります。TwitterやFacebookなどの個人メディアも、あるいはThe Huffington Postのようなソーシャルネット情報も有用でしょう。村塾では、その中で、とくに毎日の新聞として”Financial Times”そして経済週刊誌として“The Economist”を教材に使います。

新聞はインターネットに比べると約1日情報が遅れますが、情報量は豊富でまたたしかな分析にもとづくことが多く、信頼性があります。週刊誌はさらに数日遅れますが、村塾ではとくにThe Economistのfeature articleを必修資料として使います。これは編集部が総力を挙げて書く記事で世界の時々の重要テーマを大局観を持って掘り下げているので、村塾の勉強にとっては最適な教材といえます。

なぜThe EconomistとFinancial Timesなのでしょうか。それは世界で仕事をして行くうえで英語が世界語だから、という意味もありますが、それだけではありません。世界の多くの新聞や雑誌を読み比べてみれば判りますが、これらのメディアはその視野が例えばアメリカの新聞や雑誌にくらべてもはるかに広くかつ深いからです。20世紀前半まで一世紀半にわたって世界を支配した大英帝国のDNAが残っているのかもしれません。英国ていどの島国が世界を支配できた最大の要素は情報力だったとも言われます。Financial Timesは2015年に日経が買収しましたが、日本のメディアの世界の報道力と分析力はこれまでは比較になりません。視野の広さと分析力の確かさからこれらを教材として使います。

ワークショップでは、The Economistのfeature article(社説記事)は毎週判っていますし、Financial Timesについては私があらかじめ記事を指定しておきます。それらの記事の中からワークショップでは適宜記事を選んで、英語で議論します。海外ビジネスの経験者は英語ができますがそうでない人もいます。日頃英語の議論に慣れていない人にとっては最初はなかなか大変ですが、やはり毎回このような訓練をつづけていくうちにしばらく経つと結構やれるようになるのはさすがです。実際のビジネスでは、短時間で英文の書類に目をとおして直ちに真剣勝負の議論をしなくてはならない場面が日常ですからとにかく訓練と努力が必要です。

3. 企業財務から企業戦略を考えるワークショップ

経営の数字を理解し掌握しない人は経営者になれないと言われます。数字の基本はBS、PL、CF(キャッシュフロー表)などの財務諸表や事業計画ですが、生産、販売、投資などにかかわる日々の意思決定など経営の実態は基本的に上記の会計や財務の数字で表しまた理解することができます。いいかえれば、日々の目に見えない経営行動が財務・会計という次元に投射されると数字で表現できるわけです。

日本企業は伝統的に所与の条件の下で、コスト削減による生産性と品質の向上に注力してきたので、原価計算と管理会計には強かったのですが、多様なリスクの中でさまざまな経営資源の配分を選ぶ戦略的企業財務には比較的なじみが薄かったといえます。

村塾では企業財務の基本を学んだ後で、皆が興味をもつ企業あるいは身近な企業の事例を選んで企業財務の観点からデータを整理しなおし、そのうえで、さまざまな条件の下では、どのような戦略が適切か、などをワークショップで議論します。

4. 海外探訪プロジェクト

海外探訪はアクションラーニングを特色とする島田村塾のメインプログラムです。海外探訪は、原則、一年に少なくとも一回は、塾生皆(もちろん私も)で、日頃あまり訪ねる機会がないけれども様々な意味で面白いないしは研究する価値のある国や地域を選んで訪問するというプログラムです。いいかえれば、一年をつうじて研究したリベラルアーツの総集編という意味もあります。各期生はそれぞれ特色があり、興味深い国を選んで訪問します。これまでの探訪の具体的な概要は別冊に紹介してあります。

さらに詳しいことを知りたい方は、私のBlog、”Shimada Talks” (http://www.haruoshimada.net/blog/)を参照ください。英語ですが、これまでの極めて詳しい探訪報告が掲載されています。

探訪の対象としてどの国や地域を選ぶかは、皆と何度も相談し、協議して、煮詰めて行きます。どこを訪ねるかが決まると皆で手分けをして事前の研究をします。それらもふまえて原則的に私が直前までにかなり詳しいレポートをまとめます。これは日本語で書きますが、探訪の後で、事後的に私が詳細な英文の報告をまとめ、先方国の了解も得たうえでBlogに掲載します。

これまでの経験では、訪問対象国では、政府をはじめ関係機関や人々が非常に熱心に対応してくださり、あたかも国を挙げて島田村塾の研修の教材になってくださったようなケースも多々ありました。これには私達の事前の準備や交渉も有用だったとも思われますが、現実の国を相手にしたこのような生きた勉強は村塾ならではの経験でしょう。

村塾では、リベラルアーツの項目でも触れましたが、これまで日本の教育では比較的欠けていた欧米先進国以外の国や地域にとくに着目して世界探訪をしています。その理由のひとつは、これまでの日本の教育で手薄だったということの他に、実際の世界では、欧米先進国のように民主主義、資本主義、市場経済という価値観を共有する国々の方がむしろ少数派であるという現実を実際に眼で見て理解したいということです。これからの世界で活躍する若手事業家にとって、そのような多様な世界の現実を理解する眼を養うことが重要と考えるからです。

5. 卒業論文

村塾では2年間のプログラムの最終段階をメドに「卒業論文」を書いてもらいます。それは”My Japanese History”という共通論題をふまえて書いてもらいます。塾生個々人の興味はさまざまですから、具体的なテーマは問題意識に応じて自由に選んで戴いて結構ですが、大きな括りとして、2年間の勉強をふまえて、自分として日本の歴史をどのように理解し、どのように表現したいか、とりわけ、将来、外国人を相手に日本についての自分なりの理解を説明したり、主張したりする時に、何を言うかのいわば予行演習としてこの共通論題の下で、村塾卒業時点での考えをまとめてもらいたいと思います。世界で発言するための準備ですから、出来るだけ英語で書いて戴きたいと思います。

6. 「人の玉手箱」

この項目は村塾の正規のカリキュラム項目ではありませんが、実はもっとも重要なこととして敢えて一項掲げたいと思います。

事業家にとって、さらにいうなら人の人生にとって、”誰を知るか”ということほど重要なことはありません。もつべきは良き友であり学べる先輩です。人は人生にとって、そしてビジネスにとって最大の財産と言っても過言ではないでしょう。人を知ることは言うなれば「人の玉手箱」を持つこととも言えます。

村塾の活動の見えない最大の価値は誰を知るかにあります。村塾で一緒に学んだ仲間、先輩、後輩は、かけがえのない宝になるでしょう。それだけでなく、世界探訪を企画し実施する過程でも、多くの人々の世話になり、人々を知ることになります。ビジネスは自分だけでは出来ません。人を知り、友をつくる大切さを村塾をつうじて学んでもらいたいと思います。

村塾のいわば兄貴格の集まりとして「島田塾」があります。島田塾は、やや年齢層が高く、ビジネスで成功を収めた先輩格の事業家の勉強会ですが、村塾の卒業生は島田塾に入会して戴くことになりますし、また村塾在籍中でも、島田塾の準会員として自由に島田塾の勉強やスポーツや文化イベントに参加できます。こうした交流をつうじて豊かで有用な人脈をつくって戴きたいと思います。

Ⅳ. 島田村塾に参加するために

以下、島田村塾に参加するために必要な事柄を幾つか箇条書きします。

1. 村塾のつくり:

(1)大学院レベルのリベラルアーツを中心とする2年コース。9月はじめの入塾式から授業を開始し、2年後の8月中旬に卒業式。卒業に際しては卒業証書と2年間の活動記録を授与します。

(2)人員はとくに定員はありませんが、塾生は一学年15名程度が適切。15名程度はお互いに熟知しやすく、チームとしてもまとまりやすい。

(3)30歳代前後の事業家を主たる対象としますが、意欲があれば20歳代でも、40歳代、50歳代でも歓迎します。

2. 村塾での学習:

(1)ワークショップ:大体2週に一回の頻度で研究発表と討論を中心にワークショップをします。
ワークショップは港区芝の島田総合研究所を使います。

(2)毎年、7月頃に、必修科目として世界探訪を実施します。
そのほかに適宜、必要と興味に応じて自由参加の研修旅行を実施します。

3. 村塾への参加申し込み:

(1)村塾入塾希望者は島田村塾事務局宛に申し込んでください。

事務局:株式会社島田総合研究所
〒108-0014 東京都港区芝5-9-10芝・多賀ビル1F
TEL:03-5440-7130
FAX:03-5440-7755
MAIL:haruosec@bu.iij4u.or.jp

(2)申し込みと入塾手続き:別途御連絡します。

(3)授業料:別途御連絡します。

(4)村塾入塾に興味のある人はワークショップに見学参加されることをお勧めします。詳細は事務局に問い合わせてください。

4. 人脈(人の玉手箱)づくり:

(1)人脈は仕事をするうえでの武器であり、人生の財産です。村塾の活動をつうじて、仲間や先輩、世界の友人達との人脈を築いてください。

(2)OGBサミット:村塾の塾生の縦のつながりを深める意味で毎年適宜OGBサミットを開催します。

(3)「島田塾」:成功した先輩事業家の勉強会である「島田塾」の活動には村塾塾生は自動的に参加できます。また、村塾卒業後は島田塾に入会して戴きます。仕事と人生のための人脈づくりに活用してください。